子どもの甘えをどう受け止めるか:ポイントと具体例
2025/01/11
保育園での出来事です。
ある日、2歳の女の子がトイレに行くとき、私の手を握りながら「一緒に行って」と甘えてきました。
その瞬間、担任の先生が「一人で行けるでしょ!」と少し厳しめに声をかけました。
すると、彼女はどこか悲しそうな表情をしながら、一人でトイレに向かいました。
脳科学が教える、甘えを受け止めることの大切さ
甘えをそのまま受け止めたら、この子は甘やかされてわがままになるのでは?」
そんな疑問を持つ方も多いでしょう。
本日は、保育の現場で起きたエピソードをもとに、脳科学の視点から「甘えを受け止めること」について考えてみます。
1. 脳科学の視点から見る「甘え」の役割
子どもの甘えには、心と脳の発達を支える重要な役割があります。
以下のポイントを見ていきましょう。
1.1 安全基地としての役割
甘える行動は、子どもが心理的に安心できる環境を求めているサインです。
この時期の子どもの脳は、特に情緒や信頼関係を築く力を発達させる段階にあります。
甘えを受け止めることで、子どもは「自分は受け入れられている」という安心感を得られ、これが脳の発達に良い影響を与えます。
1.2 ストレスホルモンの抑制
子どもが甘えたいと感じている時に拒否されると、脳内のコルチゾール(ストレスホルモン)の分泌が促されます。
この状態が続くと、感情をコントロールする力や学びに悪影響を及ぼすことがあります。
一方、甘えを受け止めると脳内でオキシトシン(愛情ホルモン)が分泌され、安心感が生まれます。
1.3 甘えが自立につながる理由
依存の要求が十分に満たされた子どもほど、自立がスムーズに進むという研究結果があります。
一緒にトイレに行くなどの甘えを受け止めることで、
子どもは「自分は助けてもらえる」という安心感を得て、次回には一人で行こうとする意欲が高まる場合もあります。
2. 担任の先生の対応を考える
保育園でのエピソードを振り返ると、担任の先生が「一人で行けるでしょ!」と声をかけた背景には、以下のような意図が考えられます。
2.1 自立を促したい意図
先生は、子どもの自立を促したいと考えて行動したのかもしれません。
しかし、2歳という年齢はまだ自立の基盤を築く段階です。
まずは心理的な安全感を与えることが、結果的に自立の第一歩となります。
2.2 短期的な結果への焦り
大人は、子どもが「一人でできる」姿を早く見たいと感じがちです。
しかし、甘えを否定すると、その場では一人で行動するかもしれませんが、実際には不安を押し殺しているだけの場合があります。
長期的には、安心感を与えることがより効果的です。
2.3 他人からの視線や文化的背景
日本社会では「厳しさが成長を促す」という考え方が根付いています。
また、親や保育者が「甘えさせる」姿を見せると、「甘やかしている」と他人に思われるのではないかとプレッシャーを感じることがあります。
3. 甘えと甘やかしの違い
4.1 NG行動を避ける
• 甘えを否定する: 「一人でやりなさい!」と突き放すと、子どもは不安を感じ、自信を失います。
• 急いで解決しようとする: 「急いでるから後で」と先送りすると、子どもは「自分の気持ちは大切にされない」と感じます。
• 過剰に受け入れすぎる: すべてを大人が代わりにやると、「自分ではできない」と思い込んでしまいます。
4.2 基本姿勢
• 共感して寄り添う: 「一緒にやろうね」と声をかけ、気持ちを受け止める。
• 子どもの気持ちを言葉で表現する: 「〇〇ちゃん、ちょっと不安なんだね」と代弁することで、安心感を与える。
4.3 自立へのステップ
1. 安心感を与える: 甘えを受け止めることで、脳内でオキシトシンが分泌され、心が安定します。
• 例: 「先生と一緒にやろうか?」と手伝う。
2. 自分でやる意欲を引き出す: 甘えが満たされると、自然と自分でやりたい気持ちが湧きます。
• 例: 「次は〇〇ちゃんが一人でやってみる?」と誘導する。
3. 成功体験を認める: 子どもができたときは努力を具体的に伝えます。
• 例: 「最後まで自分でできたね!」
5. 甘えを受け止めることがもたらす効果
• 自己肯定感の育成: 「気持ちを受け止めてもらえた」という経験が自己肯定感を育てます。
• 脳の発達促進: オキシトシンの分泌がストレスを軽減し、感情コントロール力を高めます。
• 自立心の促進: 安心感を得た子どもは、新しい挑戦をする意欲を持ちます。
6. まとめ
子どもの甘えは、心と脳のエネルギーを補充するための自然なサインです。
甘えを受け止めることは決して甘やかしではありません。
むしろ、子どもの心を安定させ、自己肯定感や挑戦意欲を育むための大切なステップです。
「甘えを否定せず、寄り添い、次のステップに導く」ことを通じて、子どもが安心して自立に向かう道をサポートしましょう。
あなたの優しい対応が、子どもの心と未来を育てる力になります。
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子どものミカタ
代表: 井阪 有希
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幼稚園教諭5年・保育士20年目
才能クリエイト協会上級コーチ
株式会社マインズ 社員コーチング
コーチング実績は2,000人を超え、現在は、実践練習ができるワークショップも主催
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