保育園における謝罪の強制とその影響についての考察
2023/11/18
保育園では、友だち同士の小さなトラブルは、日常茶飯事に起きます。その度に、保育者による介助が必要になります。
その際に、「ごめんなさい」「いいよ」の形式的な、子どもたちに対して謝罪が強制される場面をよく目にします。
この対応が、本当に子どもたちの感情理解や社会性の発達に役立つのか?ということを疑問に感じています。今回は、強制謝罪をさせることでの悪影響や効果的な対応方法を探求します。
謝罪の心理学的分類
心理学において、謝罪は「道具的謝罪」と「誠実な謝罪」という2種類に分類されます。
道具的謝罪は、何らかの目的を達成するために行われるもので、対して誠実な謝罪は、責任の受容と罪悪感の認識が伴うものです。この分類は、謝罪の動機とその心理的背景を理解する上で重要です。
謝罪の発達的変化は、乳幼児期から始まります。
1歳半頃から何らかの謝罪行為が見られ、2歳頃には言語的謝罪が行われ始めます。
しかしこれら初期の謝罪は、多くが道具的謝罪であると考えられています。
2〜3歳の幼児が道具的謝罪を行う主な理由は、保育者の教示への服従です。誠実な謝罪に必要な罪悪感の認識は、この年齢では困難です。(東京学芸大学の教育実践研究支援センターの文献から抜粋)
保育園における謝罪強要の問題点
保育園でのトラブル解決において、子どもたちに対して形式的な謝罪を強制することは一般的です。謝罪を通じて礼儀や責任感を教え込むことの重要性を唱える声もあります。
しかし、子どもたちが本当に自発的に感情を理解し、適切な行動を学ぶには、単なる謝罪の強制ではなく、感情の言語化と共感を育むことが重要ではないでしょうか。
心理学者のビアジェの理論に基づけば、幼児期の子どもたちは他者の視点を完全に理解できず、強制された謝罪は感情的な意味をなさない可能性が高いということが分かります。
つまり、強制された謝罪は、子どもたちの感情の理解や表現に遅れをもたらし、自己反省や社会的スキルの発達に悪影響を与える可能性があるということです。
代替的なアプローチ
強制する謝罪の代替として、保育者は子どもたちが自分の感情と他者の感情を言語化し、共感する機会を提供することが重要です。
大人が子どもたちの感情を共有し、問題解決の方法を探求するための問いかけのアプローチをすることにより、子どもは内発的に共感や理解を深め、社会的スキルを自然に身につけることができるようになります。
まとめ
保育園での謝罪の強制は、子どもの感情的・社会的発達に必ずしも良い影響を与えるわけではありません。
代わりに、感情の言語化、共感の促進、そして子どもと共に問題解決を図ることがより効果的です。
これらのアプローチを通じて、子どもたちは自分自身の感情と他者の感情を深く理解し、社会的スキルを自然に身につけることが期待できるのです。
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子どものミカタ
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幼稚園教諭5年・保育士20年目
才能クリエイト協会上級コーチ
株式会社マインズ 社員コーチング
コーチング実績は2,000人を超え、現在は、実践練習ができるワークショップも主催
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