【間違った“自立”が生まれるとき】 保育園で起きていた、ちいさな違和感の正体
2025/05/13
ある保育園での出来事です。
首はすわっているものの、まだ寝返りもできない――
そんな月齢の赤ちゃんに対して、
哺乳の時間になると保育士がこう言いました。
「自分で哺乳瓶を持って飲んでね」
赤ちゃんの腕の下にクッションをあてて哺乳瓶を固定し、
大人が手を添えずにひとりで飲める状態をつくるのです。
そして、うまく哺乳瓶を握れるようになると、
「自分で持てるようになったね、訓練の成果ね」と、保育士たちは口々に言いました。
さらに、新人保育士が思わず手を添えようとすると、
「この子は自分で飲めるようになってるから、手を出さないで」と指導が入ったそうです。
なぜ、そんな保育が行われてしまうのか?
実はその背景には、保育士側のこんな本音があります。
「ミルクの時間に、1人の子に手をかけていたら、他の子どもたちが見れないんです」
つまり――
「効率」と「安全確保」のために、大人が手を離すしかない状況が、そこにはあるのです。
保育士が悪いのではありません。
子どもの人数に対して、保育士の配置が足りない。
余裕がない中でも、安全を守るために「仕方なく」選ばれている保育の形。
でもその結果として、「子どもの発達に合った関わり」が後回しになってしまうとしたら――
やはり、私たち大人はその構造そのものに、“ちいさな問い”を向けていく必要があるのではないでしょうか。
自立とは、「手を離すこと」ではない
保育所保育指針や、こども家庭庁のガイドラインでは明確にこう書かれています。
「子どもの発達過程に応じた、無理のない援助を行うこと」
「自立とは、安心と信頼の関係の中で育まれるもの」
自立とは、“ひとりでやらせる”ことではありません。
支えてもらえる経験を通じて、「やってみたい」と思える心が育つことこそが、ほんとうの自立なのです。
「支えてもらった記憶」が、心の根っこになる
哺乳瓶を握って飲めるようになった――
それは、たしかに“できた”ことかもしれません。
でも、赤ちゃんが本当に必要としていたのは、
「安心して身をゆだねられる誰かの手」ではなかったでしょうか?
甘えられること。
助けてもらえること。
泣いたときに、応えてくれる人がいること。
そんな当たり前の関わりの中で、赤ちゃんの心と体は根を張っていくのです。
保護者ができることは?
保育園に預ける親として、「先生が言うなら大丈夫」と思いたくなる気持ちは当然です。
でも、だからこそ私たち大人が持っておきたい視点があります。
それは――
「子どもを見るだけでなく、“子どもを見る大人”を見る」こと。
・子どもの表情はどうか?
・その行動に、無理がかかっていないか?
・先生が“できたこと”より、“子どもの気持ち”に寄り添っているか?
そんな問いを持つだけでも、見えてくるものは変わります。
最後に、問いかけを
「自分でできたね」と言われている赤ちゃん――
本当は、誰かに抱っこされて、安心して飲みたかったのかもしれません。
子どもの「できた」は、誰のため?
それが**大人の安心や効率のための“自立”**になっていないか――
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• 保育士歴25年以上/幼稚園教諭5年(現役)
• 2,000人以上の親子と伴走/才能クリエイト協会認定 上級コーチ
• メディア: サンテレビ「ネクストニッポン」出演(2025年11月放映)
• 著書: 『愛情に秘められた親のホンネ』
• 拠点: 大阪府岸和田市(オンラインで全国対応)
• 独自技術: まなざし診断「マナシン」(商標登録出願中)× AIプロンプトエンジニア資格








